映画『アイアン・スカイ』を観た感想
ナチスの残党が月の裏側に月面基地を作って生き延びているとか、UFOの正体はナチスの作った戦闘機だ、などの話は聞いたことがないだろうか。テレビのUFO特番やオカルト雑誌ムーを見たことがない人でも、漫画などではよくネタにされる話であるから、私はてっきり常識だと思っていた。なお、念のために断っておくが、何の確証も持っていないが事実とは思っていない。
このような話は常識（のネタ）だと思っていた私は、妻から本日言われたことで衝撃を受けた。
「そんな話初めて聞いた。え！？そうなん」
妻にとってはナチスの月面逃亡説、ナチスのUFO製造説は非常識な話だった。
Amazonプライムで映画『アイアン・スカイ』を観始めた最初の数分間は妻は少し興味ありげな様子で一緒に観てくれていたが、すぐにリビングの床の上にゴロンと横になって我が家の飼い猫-ゆきお君と一緒にスヤスヤと昼寝を始めてしまった。その後、妻は映画が終わっても目を覚まさなかった。私がこのブログを書いている時間もまだ妻と猫は昼寝中。妻と猫が寝ている横で、私は映画『アイアン・スカイ』を楽しく最後まで視聴させてもらった。
映画『アイアン・スカイ』は、ナチスの月面逃亡説やUFO製造説について聞いたことがある人なら楽しめる映画だと思う。そんなことを聞いたことがない人や、この手のネタを取り扱った映画などバカバカしくて観るだけ時間の無駄...と考えてしまう人には楽しめないかもしれない。私の場合、この手のネタの信ぴょう性については限りなく疑わしいとは感じつつも、直観的に「なんだか面白そうだ」と思って視聴開始。途中で試聴を打ち切るようなつまらない場面が出てこず、なんと最後まで視聴してしまった。
この映画によると、第二次世界大戦の終戦年である1945年にナチスは月面に到達。月の裏側のクレーター内には鍵十字型の巨大な建造物があり、ナチスの残党・子孫達が暮らしている。学校があり、小さな子供達がナチスの教育を受けており、ヒトラーではないが総統も登場する。ナチスの残党が小さな国家として月面で存続してきたことが描写されている。
1945年から70年以上もの年月を月面で生活することができる技術力は凄いとしか言いようがない。当時の技術力で本当にどうやって生き延びてこれたのか。どれぐらいの人が居住しているのかはよく分からなかったが、少なくとも1,000人ぐらいはいないとこれほどの巨大な月面基地の運営はできないのではないか。
数千人規模の人を月面に移住させるだけの宇宙船。1945年当時、どうやって用意したのだろう。超時空要塞マクロスのような巨大な宇宙船1つで逃げたのか、あるいは、複数作った小さな宇宙船で逃げたのか。月面到達時の人口は少なかったが、70年以上の時を経て、人口が増えたのか。...などを考えると面白いが、映画を最後まで観てもこの謎が説かれることはない。
次期総統となる予定の男が女に結婚の申し込みをする際に、自分が優性遺伝子の人間であることを説明するために系譜図を見せているシーンがあったが、当時のナチスの将校は本当にこんなことをしていたのだろうか。本当の話なのか、作り話なのかの区別をつけられるだけの知識が私にはないので、このようなことについては、実際はどうだったんだろう、と気になった。気になったが調べていない。真偽の区別が付けられないのは怖い。歴史についてはもっと勉強しないといけないと自覚させられたシーンであった。
アメリカ合衆国大統領＋世界各国と月面のナチスの残党との戦闘は、地球・宇宙・月という3つの大舞台で行われ、明らかにB級映画であるはずなのに、どの戦闘シーンもCGが綺麗。スタートレックマニアには怒られるかもしれないけれど、スタートレックとあまり変わらないレベルの綺麗な映像だと思った。映像の品質は、B級映画を圧倒的に超えていると感じた。ヒロインのレナーテ・リヒター（Renate Richter）を演じるユリア・ディーツェ（Julia Dietze）が美人で萌え系なかわいらしさがある点もよいと思う。
緻密で論理的なSF作品を期待する人にとっては疑問符ばかりが頭の中に飛び交う作品ではあるが、バカバカしい話をバカバカしく興味を持って見ることができる人であれば、それなりに楽しめる作品だと思った。私は楽しめてしまった。2021年7月22日現在、Amazonプライム会員であれば無料で試聴できるので、興味がある人はAmazonプライムで試しに観てみるのもよいと思う。
この作品には『アイアン・スカイ／第三帝国の逆襲』という続編がある。
2021年7月22日現在、Amazonプライムでレンタルなら100円、購入なら500円の料金で試聴できるようだ。今のところ、お金を支払ってまで続編を観たいとまでは思わなかったので、また機会があったら...できればAmazonプライムで無料視聴できるようになったら、続編は観てみようと思う。