赤川次郎|指定席 ショートショート32話のタイトル一覧と感想
赤川次郎のショートショートを集めた『指定席』というタイトルの本を読んだので以下に感想などをメモ。
『指定席』には32話のショートショートが収録されている。1話あたりのページ数は10ページ前後なので、1話あたり数分もあれば読める。
ショートショートの各話はまったく話がつながっていないので、どの話から読んでもよい。話のつながりがないから、前の話を覚えていなくても次の話を読む際にまったく問題とならない。
どの順番で読むのか迷う場合、目次に並ぶ32話のタイトルを眺めて面白そうだと思ったタイトルから読むのもよいし、私のように1話目から順番通りに読むのもよい。読む順番は完全に自由だ。
読書する時間があまり取れない人でも、何かの作業の合間などで1話ずつでも読んでいけば1冊を読み終えるのに時間がかかっても前の話を覚えていないので意味がわかない、などということにはならないから、赤川次郎作品が好きだけれど最近あまり読書する時間がどうしてもとれない、でも赤川次郎作品を読みたい、という場合には、このショートショートを読むとよいと思う。私もそんな思いでこの本を手に取って読んでみた。
『指定席』に収録されている32話の作品の1つ1つのタイトルと簡単な感想を以下にメモ。
ショートショート32話分のタイトル一覧と感想
イノセントガール
どう考えても男の子がかわいそうすぎる。
おしゃべりな女
妻がかわいそう。身勝手な夫だ。
キンモクセイの香り
両親の離婚で離ればなれになるのが嫌な兄弟たちは、その後どうなったのだろう。泣ける話の解決策が提示されると思ったら、想定外のオチでびっくり。
お茶が入るまで
「赤紙」が届いたことで軍隊に入ることになった夫。その夫なしでは生きられない妻がとった行動はよくないことだけれど、戦争中で追い詰められた心理状態の人であればそういった行動をとることがあるかもしれないと思う悲しい話。
私の人生、買いませんか?
人生の値段が2万円というのは安すぎると思うけれど、それがきっかけで東大に行くほど頑張ることができるのはすごい。
最後の動物園
「立体映像で映すバーチャル動物園」が一般的になった時代では本物の動物園が子供達から「くさくていや」と言われているという話が出てきて、本当にそんな時代になったらイヤだな、と思いながら読んだ。
二級天使
天使にも階級があり、一級天使、二級天使という違いがあるようだ。隣の芝生は青く見える、という言葉を思い出した。
天使も空から落ちる
「倒産寸前で、社員を半分に減らそうとしてる」という事情があるにせよ、やむにやまれぬ事情があって朝から昼までの半日間会社に連絡が取れずに出勤できなかったことに対して「無断欠勤は解雇の理由になる」と課長に言われてしまうのはひどい話だと思った。助けた少女は、男に色々な幸運をもたらしてくれたとは言え、助けてくれた男にきちんとお礼を言ってほしいなあ。
丘の上の三軒家
友人・ライバルと張り合って、比べ合って、自分の方がより上だ、勝った、と思うことはそんなに嬉しいものだろうか。
頷くだけの新入社員
人殺しの罪をかぶせられた男がポロポロ涙をこぼしていた理由が気になる。殺害された女が本当に男の恋人だったのか、それともなんでこんなことになったんだろうと思ってパニックになって泣いているだけなのか...が気になった。
幸福発注書
人と比べると本当は目の前にある「幸福」が見えなくなるものかもしれないし、自分より「幸福」に見えている人が実は「幸福」ではなかったりもする。「幸福」とは何かを教えてくれる。
ローン天国
ローン地獄の反対語がローン天国ということはないと思うけれど、とんだ皮肉だ。自己破産しても若い男が悲壮感を持っておらず、あっけらかんとしているのは大したものかもしれない。私には理解ができないけれど、この話に登場する若い男にとってはタイトル通り、「ローン天国」なのであろう。
月末の仕事
この話に登場する月末は、たぶん日本だと1年で一番忙しい月末となる3月末。3月末は年度末とも言われるが「年度」を意識して働いていると、段取り次第なのだろうけれど、3月末が一年で一番忙しくなることが多い。私も年度末は忙しい。なんでもかんでも3月末に締め切りとなる仕事が集中するのは勘弁してほしいと思う。さすがに殺意までは抱いたりしないけれど。この話に登場する男は身勝手すぎであろう。忙しいからと言って、そんなことであんなことをしてはいけない。
名前を盗む男
地震などの災害で死んだ他人になりすますような人は本当にいるかもしれない。火事場泥棒もそうだけれど、このようなことは起きてほしくない。
時間旅行
恋する乙女の力は凄いというか、女子大生が恋の情熱でタイムマシンを完成させるのはすごいと思う。恋の相手となる男子大学生にすぐに幻滅するのは仕方がないとしても、男子大学生に対してそこまでひどいことをしなくてもいいのでは。女子大学生には狂気を感じる。
サンタクロースの寝坊
大学生あるあるの話かもしれないけれど、1日ぐらい日が飛ぶほど寝てしまうということは私も話には聞いたことはある。私にはそのような経験はないけれど、私が大学生の頃、夜間のコンビニバイトをしていたために、昼夜逆転生活をしていたことがあったことを思い出した。
消えた小包
宅配便が家に届けられる際、家が留守だったら「お留守でしたので、お隣にお預けいたしました」というハガキが入る時代があったのだろうか。私が現在住んでいる自宅のお隣さんは何の問題ないけれど、もし、滅茶苦茶仲が悪いお隣さんだったとしたら、荷物を預けられると、お互いに相当嫌だろうなぁ。
懐かしのオムライス
デパートのレストランで5歳の子供が注文しているメニューがハイレベルすぎて、私もよく分からなかった。子供の父親である男がうろたえていたように、私もうろたえてしまった。娘から「食堂」ではなく「ブラッセリー」と言うように求められる父親をかわいそうだと思った。私も恥ずかしながら「ブラッセリーって何?」と思ってネットで調べてみると、ブラッセリーとはフランス語の「brasserie」をカタカナにした言葉で、フランス語で飲食店を表す言葉ということが分かった。勉強になるなぁ。
秘密の階段
お母さん大好きの12歳の息子が、お母さんを好きなあまり、とんでもないことをするから残念。いくら好きでもやっていいことではない。
引っ越しは大忙し
バイト先を訪れた男子大学生が「お前か」と声をかけられてバイトを開始したけれど、人違いだったのだから、本来やって来るはずだった別の人が遅刻して登場したら、男子大学生は身の危険があったかもしれないなあ。男子大学生が善良な性格の持ち主でよかった。
白いランドセル
主人公の男の代わりに小山洋子さんという女性が女占い師に3000円もの大金を支払うことに違和感を覚えたのは私だけだろうか。気前がいい人なのかもしれないけれど、ケチな私には無理だなぁ。
お墓参り
この話を読んで、長年、祖父母のお墓参りに行っていないことを思い出した。両親は幸いにも健在だけれど、高齢化した両親や私自身の墓というものは全く考えていないので、今後どうしようか、と少し考えたけれど、結論は全く出ないまま先延ばし。家族愛を考えさせられる話だけれど、この話の男のように娘がいる私としては、あまり娘に情けない姿は見られたくないものだと思う。夫婦と娘という3人の家族構成は私と同じだから、この話の男と自分を重ねながら読んでしまった。
ママは2年生
娘が小さい頃に妻がよく言っていた「魔の2歳児」という言葉を思い出した。この感想文を書くにあたり妻に当時のことを聞いてみると、幸いにも娘は魔の2歳児ということにはならず育てやすかったとのことだが、ムカつくことはいっぱいあったとのこと。私自身の記憶では娘は私に対してはよく泣いていて大変だった。もちろん仕事であまり家にいなかった私と比べると妻の方が子育てはもっと大変だったであろう。子育ては大変だけど、子が育っていく様子を見るのは幸せなことだ。私の娘はもう20歳になった。今日(8月19日)のお昼ご飯は、私と妻は帰省した娘と久しぶりに外食でいただいた。昼食中、妻と娘と当時のことを振り返って楽しく話すことができた。当時は子育てで辛く感じたことも、いつかは楽しい話になることもあるかもしれない。この話を読んだことで、このようなことを家族で話すきっかけになったのでとてもよかった。
ひ・ず・み
いい音で音楽を聞きたいという気持ちはよく分かる。この話の男のように防音対策もしたオーディオルームを持てたらいいだろうなあ、と羨ましく思った。男がこだわりすぎて、妻に配慮が足りない行動をとってしまうのは問題だけれど、オーディオルーム、いいなあ。
ラストオーダー
話のオチでこの言葉を聞いた時、上手いこと言うなあ、と思った。夫婦関係がうまくいっていないことが原因で起きる問題の解決策としては、最悪なものだと思う。
来客
人がいい社長さんを慕う社員さんたちはいいものだ。オチはちょっと都合がよすぎるけれど、そんなオチが私にも来てほしい。
姿なき隣人
話のオチを読んで、これは恐ろしいと思った。現在私はアパートには住んでいないけれど、今後もしアパートに住むことがあったとしたら、隣の部屋に住む人の姿が見えなかったら、この話を思い出してすぐに対策を取らないといけないなあ。
年男と大掃除
年男と聞いて、相手が何歳なのかを誤ると申し訳ないことになる。一回り違うと12歳、二回り違うと24歳違うことになる。相手の見た目で年齢を判断するのは難しい。自分は何歳に見えるだろうか。目の前に20歳の実の娘がいるので聞いてみたら、娘は少し悩んだ末に「44歳ぐらい」と答えた。私の年齢は49歳なので5歳は若く見られたことになる。これは少し嬉しい。私自身が鏡を見たら60歳ぐらいに見えるので、人が感じる見た目の年齢というものは見る人によって全然違うのだなあ、と改めて思った。
空白の三時間
次々と登場するアイドルの生存競争は厳しいのだなあと思う。終盤の展開については私はテレビ番組のドッキリなのかと勘違いしてしまった。
弟のいたずら
両親の気持ちを考えると、回りくどいことはせず、弟はもっと早く両親に真実を告げるべきだろ。姉と弟の仲がいい様子はうらやましい。
最高の贈り物
この話のタイトルの対象が、娘のことなのか、それとも娘の父母が号泣した原因となった手紙のことなのか、私にはよく分からなかった。文脈的には後者なのかもしれないけれど、私は娘のことだと思いたい。心配して娘に電話をしてくれた娘の友達もとてもよい。いくつかの偶然が重ならなければ、どうなっていたことか。「最高の贈り物」の反対のことになるけれど、「最悪なもの」は、人を陥れることをする人達だと思う。このような人達は本当に許せない。
振り向けば半世紀
金婚式とは、結婚50周年の記念日に行う式のこと。金婚式を迎えるにあたって繰り広げられる夫婦喧嘩が少しみっともない気がするけれど、夫婦仲が50年持つのはとてもよいこと。