『意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 54字の物語』を読んだ感想
本の感想
「意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 54字の物語」を読み終えたので本の感想を以下に記載。
文字数が54ピッタリで終わる物語であるため、短文投稿が前提のツイッターなどのSNSとはとても相性が良いと思う。もちろん、インターネットとかSNSとかは全く考えることなく、この本1冊だけで本の内容は理解できる。
「意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 54字の物語」は娘から借りた紙の本。本の表紙にも54字の物語が書かれているが、本のカバーをめくると、「こんなところまで読んでくれてありがとう」という感謝メッセージで始まる隠し物語を読むことができる。このような遊び心はよいと思う。
後述するが、この本が面白いかどうかは、受け手の感性が若いかどうかにかかっているかもしれない。
第1話から最後の第90話まで一通り読んでみたが、話の意味が分かってもゾクゾクすることはなかった。
54字という少ない文字数の話であることを考えると、小学生向けの本、大人には満足できない幼稚な本、と考えた。
...本当にそうだろうか。
この本を貸してくれた娘...現在、高校1年生・15歳にインタビューをしてみた。
「この本、読んでいたの小学生頃?」
「中学生頃だったと思うよ」
本のページをめくって出版年を確認すると「2018年3月2日第1版第1刷発行 2019年1月11日第1版第14版発行」となっていた。この本を書店で入手した時期はここ2年ほどの間でのことだろうから、娘が中学生頃に読んだので間違いがないであろう。
「面白かった?」
「面白いのもあるけど面白くないのもある。そんなに面白くないのにずっと読んでしまうってのはあるね...ふふっ」
娘は本をパラパラとめくり、開いたページを少し読んで「ふふっ」という笑い声を上げていた。
反抗期だからか親と毎日喧嘩ばかりしている娘が、この本をちらっと読んだだけで純粋な笑顔を見せる光景に驚いた。
この本が面白いかどうかは、感性が若いかどうかによるのかもしれない。
現在の私の年齢は44歳。娘との年齢差は29歳。
この年の差は大きくないと思っていたが、想像以上に大きかったようだ。
まだまだ私の感性は若いと思っていたが、どうやらもう若くはないようだ。
感性の若返りなどは望んでもできないのかもしれないが、感性が年を取ったと考えると悲しくなる。
悲しいけれど、あまりくよくよと悩まないことにする。
この本の対象読者は小学生・中学生となるのかもしれないが、大人も読者になってよいと思う。54字ピッタリで言いたいこと簡潔にまとめる、小中学生にも理解できる文章を簡潔に書く、という目的意識をもって読めば、文章力アップのための訓練本としても使えるかもしれない。ああダメだ。本の内容を純粋に楽しめず、そんなことばかり考えているとますます感性が年老いていくような気がする。
本の情報
作者
氏田 雄介(うじた ゆうすけ)。作者は1989年、愛知県生まれの人。
イラスト
佐藤 おどり(さとう おどり)
出版
PHP研究所