漫画『極悪ノ花 北斗の拳 ジャギ外伝』上下巻を読んだ感想
漫画『極悪ノ花 北斗の拳 ジャギ外伝』(漫画:ヒロモト森一、原案:武論尊、原哲夫)の上下巻を読んだ。
ジャギの悲しい生涯のストーリーをテーマにした上下巻(合計2巻)の漫画本。
この本を読むと、ジャギの生い立ち、ジャギが壊れていく様子がよく分かる。
北斗神拳第64代伝承者の座を巡り、ラオウ、トキ、ケンシロウ、ジャギが争う、ということはほとんどなく、争いを仕掛けるのはジャギだけで、他の兄弟達は淡々とした態度で修行をしていた。
ほとんどがジャギの独り相撲のような感じであった。
ジャギ以外の3兄弟が、ジャギを相手にしておらず、ケンシロウもアンナというジャギの女友達に指摘されるまで、ジャギと闘う時には手を抜いていたほど。
北斗千手殺(ほくとせんじゅさつ)という独自の技を編み出すなど、ジャギは拳法家としての才能はありそうなのに、結局は、ラオウ、トキ、ケンシロウの3兄弟の誰にも勝てない実力しか身につかなかった。
ジャギは何故弱いのか。
この上下巻の漫画を読むと分かったような気がする。
私が考えるジャギが弱い理由は以下の2点だと思った。
1.自分の実力を過信し、他人を侮る性格のため、他人の実力を意識した修行ができていない。
常にケンシロウを見下しており、弟が兄よりも優秀なわけがない、という主張をしている。
これでは、事実を直視できておらず、ケンシロウの強さを理解できないから、ケンシロウの実力を超えるための修行をすることもない。
相手が兄であろうと弟であろうと、相手が自分よりも強い、ということを認めることができていれば、ジャギはもっと強くなっていたのではないだろうか。
2.師父リュウケンの元で真面目に修行をしない。
5年間も家出をしていたジャギが、5年間真面目にリュウケンの元で修行をしていた兄弟達に勝てるわけがない。
何事も自己流は弱い。
それでうまくいく場合があるかもしれないけれど、長年の歴史がある北斗神拳を前に、思いつきの自己流の修行で身に付けた拳がかなう可能性は限りなく低い、ということだ。
核戦争前にはジャギはアンナという可愛らしい女の子と仲良くしていた。
極悪非道で悪逆の限りを尽くしているジャギであるが、少年時代は同世代の女の子を追いかける、普通の少年であった。
世界を崩壊させたあの核戦争が起きなければ、ジャギはアンナと仲良く暮らしていたかもしれない。
ジャギの意外な一面を知ることができる興味深い漫画であった。
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