謎の痒みの原因はアトピーではなく蕁麻疹だった
記憶がはっきりしないが、2か月ほど前となる3月頃からだと思うが、謎の痒みに悩まされ続けていた。
痒いところは、顔のほぼ全体、頭皮、顎から首の皮、手首、おへその周辺などだ。
新型コロナウイルスの感染を恐れて、病院にはなるべく行かない方がよいかと思い、痒みを我慢していたが、5月以降、日に日に痒みがひどくなってきて我慢し続けることが難しいと感じるようになったので、3週間前の土曜日についに病院に行くことにした。
総合病院や内科の病院と比べると皮膚科の病院での新型コロナウイルスの感染リスクは低いであろうし、最近は新型コロナウイルスの感染者数が減少してきていることもあって、怖がりすぎる必要もないと考えた。
同じことを考えている人がいたのかどうかは分からないが、たくさんの患者さんが待合室にいて、待合室に入ることができない人達は病院の外のビル内の廊下に並んでいた。受付で氏名を記入する際、私の前に18人ほどの患者さんが待っていることが分かった。
診察を受けないまま帰るわけにもいかないので、1時間30分ほども待った。
廊下の窓からは外からの涼しい風が入ってきていたので長時間の待ち時間もそこまでしんどくはなかったことは幸いであった。
皮膚科の先生からはいくつか質問をされた。
「どうされましたか?」
「首などが痒いです」
先生にそう答えてから、顎を上げて首の痒い部分を先生に見てもらう。
掻きむしった結果、首の下の皮膚はボロボロに荒れており、血の跡や瘡蓋(かさぶた)が付いている。
「いつ頃からなりましたか?」
「よく覚えていませんが、今年になってからです。昨年の9月頃から花粉症が続いており、最近、その花粉症がひどいです。これと関係あるのでしょうか。もっと若い頃...20歳頃まではアトピー性皮膚炎で皮膚が荒れていたことがありますが...」
「花粉症でこのようになることはありません。アトピーでもなさそうですね。仕事のストレスなどで痒くなることがありますが、仕事はどうですか?」
「そうかもしれません。仕事でイライラすることが多いので。不思議と、会社にいる時は痒くないのです。自宅にいる時に痒くなるのです」
「そうでしょうね。仕事のストレスが原因で、自宅に帰ってから痒くなる、ということはよくあります。1週間分、薬を出しますので、それで様子を見ましょう。薬は2種類ありまして、よく効く代わりに人によっては眠気がきてしまう薬と効果が弱いですが眠気の心配がない薬があります。どちらにしましょうか。家に帰ってから仕事をすることはありますか?」
「トラブルが起きた場合は、家で仕事をすることがあります」
「眠気が来ない薬にしましょうか」
「よく効く薬でお願いします」
「仕事は大丈夫ですか?眠くなると仕事に影響が出ますよ」
「家で仕事をするようなことはほぼないので、構いません」
「分かりました。では、よく効く飲み薬と塗り薬を1週間分出しておきますので1週間後にまた来てください。飲み薬は眠気には注意してください。」
処方箋をもらい、薬局で薬を出してもらう。
処方された飲み薬はアレロック、塗り薬はヒルドイドロコイド軟膏。
アレロック 5mg 7日分(表面)。
アレロック 5mg 7日分(裏面)。
アレロック 5mg
KH021
アレルギー性疾患治療剤
Kyowa Kirin
おくすり手帳には薬について以下の説明書が貼付されていた。
アレロック錠5※1日1回7日分 帰宅後にお飲み下さい。
【アレロック錠5】
・アレルギー性鼻炎の症状やじんま疹、湿疹・かゆみ等の皮膚症状を抑えます。
【副作用】
・口の中やのどが渇くことがあります。渇きがひどかったり、吐き気があった時は、医師に相談して下さい。
皮膚科の先生に言われた眠気の副作用についての記述がないが、説明書が簡素なので副作用の全てが記述されていないのかもしれない。眠気には気を付けておこうと思う。
ヒルドイドロコイド軟膏(ケース)。
ヒルドイドロコイド軟膏(中身・クリーム)。
ヒルドイドロコイド軟膏の見た目がソフトクリームにしか見えないので、小さな子供がいる家庭では子供がうっかりと舐めてしまわないように注意が必要かもしれない。
おくすり手帳には薬について以下の説明書が貼付されていた。
ヒルドイドソフト軟膏0.3% 25gロコイド軟膏0.1% 25g
・血液が固まるのを抑えたり、皮膚の水分を保持する効果があります。
※1日2回塗布 ※湿疹 混合のお薬です
・皮膚の炎症をおさえる薬です。
処方された飲み薬(アレロック)を飲んでみてびっくりした。
薬を飲むまでは、痒くて痒くてたまらなかったのだが、薬を飲んだその日から、痒みが消えた。
家にいる時は、ボリボリボリボリと掻きむしるたびにストレスがたまってイライラとしていたが、そんなのが全部なくなった。
痒みによるストレスで心も体も疲れ切っていたから、薬を飲むだけで痒みが止まったことにはとても感動した。
皮膚科の先生に言われた通り、1週間後、再診察を受けた。
「7日間、薬を飲まれてどうでしたか」
「あの薬すごく効きますね。痒みが止まりました」
「眠気はどうでしたか?」
「眠気は全く来ませんでした」
「あら、それは凄い。この薬で痒みが止まったということは、アトピーではないですね。アトピーだったら、この薬で痒みが止まったりしません。蕁麻疹(じんましん)による痒みですね。最近、蕁麻疹の方が多いんですよ。コロナの関係でストレスがたまりやすい生活になっていますからね。同じ薬を30回分出しておきます。痒い時だけ飲んでもらったのでいいですからね。毎日飲まなくてもいいです。飲み終わるまでに何か月かかってもいいですからね」
アレロック 5mg 30日分。
それからさらに2週間が経過した。
薬を飲まなくても痒くない時もあるが、痒くなったら飲むようにしている。
しかし、痒くなってから飲むと手遅れな時もあり、痒みが止まらない時もある。
もしかしたら痒くなる前に飲んだ方がいいのかもしれないが、このままもう少し様子を見ながら、先生の言われた通りに痒くなったら飲む、というようにしておこうと思う。
病院に行ったおかげで、痒くてたまらない、ということで悩まされることがなくなり、心も体も楽になった。
痒いのを我慢し続けるのは体にも心にも良くないので、もっと早く病院に行くべきであったと思う。