『完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか』を読んだ感想
『完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか - ブラック企業が4年でホワイト企業アワードを受賞するまでの全軌跡』(著者:米村歩・上原梓)というビジネス本を読んでみた。
著者の米村歩氏は、株式会社アクシアの代表取締役社長、上原梓氏はフリーライター。
残業ゼロにするために、定時の18時0分になったら強制的にPCの電源を落とさせるという徹底した方針、日報を書くシステムが18時になると「残念でした、また明日!」と表示されて日報が書けなくなるのは、凄いと感じた。
東京での生活は毎日のように終電で帰宅する生活で22時に会社を出られたら「今日は早い」と感じている私としては、羨ましいと感じた。
私は10年前は朝6時帰宅、朝8時30分出社、というような状況で土日もほとんど出勤していた時もあったので、現在ほぼ終電で帰っていると言っても、朝帰りもないし、土日休日出勤がほとんどなくなった現在の状況は、10年前と比べると随分楽になっている。
私が勤める会社は、10年前の悲惨な当時はブラック企業だったかもしれないし、今もホワイト企業ではないのであろうけれど、かなり良い方なんじゃないかな、と思っていた。
しかし、この本を読むと、違ったらしい。
この本に書かれている、会社を退職しようとした社員さんの残業状況が、現在の私に近い。
この本の定義では、このような残業を行っていた時代のアクシアはブラック企業だったとのこと。
え!?ということは、今の私の状況でもブラックなのか!?
これに気付くと、衝撃であった。
現在の状況でも、やや満足していた私は、どうやら基準がおかしくなっていたらしい。
この本に書かれているように、残業ゼロを実現できればさらに良くなるのであろうと感じた。
経営者でもなく、役員でもない今の私には、現在勤める会社に対してはどうしようもない気がするけれど、このブログで本書を紹介することで、日本のどこかの人が興味を持って残業ゼロの取り組みが増えていくかもしれないし、バタフライ効果的に、いつかは私が勤める会社も残業ゼロを真剣に考える波がやってくるかもしれないので、とりあえず、ブログで本書の良さを書いておこうと思った。
この本の残業ゼロの考え方には賛同できるけれど、1点、疑問点が残った。
一般社員には帰ってもらうけれど、社長と役員の計2名が一般社員の代わりに残業をしているという話。
この本の著者:米村歩氏は1979年4月25日生まれということなので、2017年現在、38歳。
若い社長だ。
今は。
私よりも2歳も年下であるが、2歳年上の私であるから分かることがある。
そろそろ年齢的にしんどくなってくるのでは。
私は38歳を超えたあたりから、記憶力の減退に悩むようになったし、体力の衰えも感じ始めた。
一般社員の代わりに社長と役員が残業を肩代わりするのは美しいけれど、年齢を重ねるとしんどくなって、残業を肩代わりできない日がやって来るのではないかと感じた。
もちろん、既に、その対策は始めているのかもしれないし、社員達が社長と役員にお願いをする残業が実質的にほぼゼロなので大丈夫なのかもしれないけれど、気になった。
医療、介護、消防、警察、自衛隊など人の命にかかわる仕事をしている人は、定時が来たからと言って仕事の途中で強制的に切り上げることが難しい場合もあるだろうから、完全には残業をゼロにはできない職種もあるだろうけれど、私も現在勤めているIT企業については残業をゼロに近づけることは可能かもしれない。
この本が日本の経営者と役員にもっと読まれて、残業ゼロの風潮が当たり前になれば、日本の会社の考え方は変わってくるのではないかと思う。
本当に、世の中、残業がゼロになれば良いのに。
あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。
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