『サバイバル登山入門』(著者:服部文祥)を読んだ感想
本書では、時計も携帯電話もテントも持たずに山に入り、山に生息する動物を狩って解体したり、自生する植物を採集して、食料を調達する、というような凄いサバイバル術が紹介されている。
鹿の解体作業の過程がカラー写真で丁寧に解説されていたので、そういった写真を見ることが苦手な人は閲覧に注意が必要。
この本を見て、真似をしようと思う人がいるかもしれないけれど、私には、おそらく無理だろうと思う。
もちろん、そうしないと生きていけないというような非常事態になったら、そうすることがあるかもしれないけれど、今のところは、自ら進んで、山の中で数日間自給自足で過ごしたい、という気持ちは芽生えていない。
この週末にちょっと山登りをしてみたいかも、どこか簡単に登れる難易度の低い山はないかな、というライトな感覚の私には、到底考えられないようなとてもハードな内容になっている。
では、筆者のように、数日間山籠もりをするような趣味や生活スタイルを持っている人、あるいはこれからそうしようとしている人でないと、この本が面白くないかどうかというと、そんなことはない。
山で生息する動物を狩って食べたり、山で自生する植物を採集して食べたいとは全く思わない私がこの本を読んでも、かなり面白い。
現代日本で、狩猟採集を実践している人がいるとは、この本を読むまで私は知らなかったし、そういった人たちがいるということを想像することもできなかった。
本書には、合法的に猟銃を所有する方法についても書かれている。
これまでの私の知識では、猟銃は獣を撃ち殺すための道具ぐらいの認識しかなく、獣を撃ち殺した後で、獣をどうするかまではほとんど考えたことがなかった。
考えてみれば当たり前で、仕留めた獣は、筆者のように、解体して食べる、ということになる。
獣を撃ち殺した後に、食べるという過程を想像できなかった私は、現代日本での豊かな生活に甘えきっていると気付いた。
この本で、新たな世界を知ることができて興味深かったし、サバイバル生活の大変さ、過酷さを知ることで、現代日本の食糧事情が、いかに幸せな状況であるか、ということを認識した。
読んでよかったと思った。