写真集『東京窓景』(著者:中野正貴)を読んだ感想
東京のビル、住居などの窓から眺めた東京の風景写真。
窓を開いて、顔を突き出して見る景色と、窓を通してみる景色は違う。
そんなことは分かっているつもりだが、この写真集を見ることで、その違いについて改めて認識させられた。
写真に窓が写っていないと、屋外の東京の景色だけを眺めていることになり、実際には窓から見ていたとしても、写真を見ている人にとっては、窓があろうとなかろうと同じことだ。
写真に窓が写っていると、写真を見る人は、窓と窓周辺の壁や窓の内側にある屋内の家財道具や飾りを目にすることになり、それらが東京の景色をどのような雰囲気の場所から眺めているかを教えてくれる。
どのような雰囲気の場所から眺められているかを知ることで、写真を見た時の印象が変わる。
布団が写っていれば、布団で寝ながら見ることができる風景であると分かる。
人によって感じ方は違うだろうけれど、目覚めた時に布団から見える光景が、うんざりする光景、楽しい光景など、どのように見えるかを想像すると楽しい。
東京に住んでいるわけではないが、出張などで東京を訪れる機会は年に何度かはある。
そのたびに、同じところを訪れているはずだが、いつも景色が違っているのに驚かされる。
窓から見える景色も、場所にもよるが、目まぐるしく変わっているであろうから、眺めるのは楽しいであろうと思う。
鉄道や車が行き交う道路が見える窓の景色は、私は特に好きだ。
そのような景色は動いていて、変わり続けている。
そのような楽しいことを思い出させてくれる素敵な写真集だと思った。