写真集『DIZZY NOON 厚木飛行場・五月九日 1965』(著者:新倉孝雄)を読んだ感想
今(2015年)から50年前となる1965年5月9日の米軍の厚木飛行場の写真集。
写真集で特に印象に残った写真は、以下のような写真。
1.「WELCOME TO JAPAN」と書かれた看板周辺に座ってお弁当を食べる人々。
《看板に書かれている英語》
WELCOME TO JAPAN
ATSUGI NAS JAPAN
RADM.PE.HARTMANN U.S.N. COMMANDER FLEET AIR WEST PAC
CART.O.B. STANLEY U.S.N. COMMANDING OFFICER
普段は、このような場所でお弁当を食べることはないであろうから、この日が特別な日であることがよく分かる。
2.飛行機の翼を滑り台を滑るように座っている幼稚園ぐらいの男の子、同じ翼に立つ子供たちの写真。
子供たちが、楽しそう。
3.U.S.AIR FORCE FH-399と銀色の機体に書かれた両翼プロペラ機。
大きく、存在感がある。
写真集巻末の『「よその国」へ1日だけ入ることのできる日』という著者のあとがきを見ると、写真を撮影した1965年5月の3か月前となる2月に当時の北ベトナムへの空爆が開始されたということ、5月9日に厚木飛行場が地域住民に開放されたのは、米国によるベトナム戦争の後方支援を行っていた日本との関係強化を図る目的があったことなど、当時の重い時代背景があることが分かった。
写真集に収められている駐留家族と地域住民との楽しそうな雰囲気からは、戦争の面影は感じられないが、あとがきを見た後では、写真から受ける印象が変わってきて、複雑な気持ちになった。