漫画『彗星★少年団』を読んだ感想


彗星★少年団 (ぶんか社コミックス)

漫画『彗星★少年団』(著者:倉薗紀彦)を読んだ。
この漫画は、1巻で完結する読み切り漫画。

大都会東京から田舎に転校してきた少女・星川るい。
引っ越してきた理由は、病気のお母さんの治療のため。
お母さんは田舎の病院で入院中。

るいが田舎に引っ越してきた当日、るいは小学生の男の子・甲本くにおと出会う。
木から落ちてきたくにおは、るいに虫捕りを手伝ってくれと頼む。
虫を差し出されたるいは、虫に怯えながらも、くにおの虫捕りを手伝う。
二人は虫捕り遊びで友達になったようであった。
この子供達ならではの雰囲気が良い。

くにおは、あまり喋らない寡黙な男の子だけど、芯はしっかりしている。
るいが上級生二人にモノを取られるイジメにあったと知ると、一人で上級生二人に立ち向かい、モノを取り戻す。
くにおは、取り返したモノを女の子には直接渡さず、教室の机にそっと置いておく。
取られたモノは、るいの大好きなお母さんが作ってくれたモノ。
るいは、誰が取り返してくれたのかについては分かっている様子で、モノを強く握りしめる。
るいは、この頃から、くにおのことがとても気になっているのであろう。

くにおが鈍感すぎる性格は面白いと感じつつも、女の子にとっては迷惑な性格かもしれない。
付き合ってください、と告白してくる女の子の気持ちが分かっておらず、一緒に遊びたいということだと勘違いして野球チームに入ることを勧めてしまう。
けれど、そこがまた格好いいと思ってしまう。

友人が自分のミスで怯えていて、くにおに怒られるのではないかとびくびくしていると、くにおは何事もなかったように、優しく声をかけてくれる。

こんな少年には、とても好感が持てる。
これは、女の子にモテそうな性格かな。

天体観測をしている高校の先生との出会いは面白かった。
小学生達の発想では、先生が天体望遠鏡で覗きをしている不審者とみなされていたが、先生はとてもいい人。
小学生達と天体観測をする話は、素敵だと思う。
この先生との出会いがなければ、本のタイトルにもなっている「彗星★少年団」という呼び名は生まれなかっただろうし、東京に戻った女の子がまた田舎に戻ってきて...というように、彗星のようにまた戻ってくる、というストーリーは成り立たなかったであろう。

今朝、通勤で利用する駅のホームのベンチでこの漫画の最後まで読んで感動して泣きそうになった。
自宅で読んでいれば、誰の目も気にすることなく泣けたであろう。
朝5時45分頃とは言え、私が座るベンチの周りには人がたくさんいたので、さすがに泣くのはこらえたが、涙目になることは抑えられなかった。

実は、一番感動したのは作者のあとがき。
あとがきで感動できる漫画は、なかなかないかも。
作者がなかなか漫画家デビューできず、苦悩していた様子が伝わってきた。
過去には「射精魔人カウパー君」、「東京ポルノ」といった全くジャンルの異なる漫画を描いていたようだが、うまくいかなかったようである。
作者が諦めず、漫画を描き続けた結果、このような感動的な漫画が誕生したということが伝わってきて良かった。
夢を諦めずに成功するには、諦めないこと、ということだと思った。

この漫画は、とてもよくできていたと思う。
この作者の漫画は、今後も是非読んでみたいと思った。


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