『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(著・伏見つかさ)最終巻(12巻)を読み終えた感想
1巻から読んできた『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(著・伏見つかさ)の最終巻(12巻)を先日読み終え、本日、パラパラと読み返しをしていて、先ほど本を閉じた。
何度読んでも、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は面白い、と改めて思った。
さて、最終巻の感想。
兄妹とは言え、京介と桐野がお互いの想いを伝えられたのは良かった。
204〜205ページの見開きの桐野イラスト、365ページの桐野と京介のイラストも良かった。
卒業までの期間限定の恋人、卒業後は普通の兄妹に戻る、という約束もこの二人らしい約束だと思った。
両親のことや世間体などを気にしている二人にはそれが限界だったのだろう。
桐野にとっては、それで幸せだったのであれば、よいかもしれない。
永遠ではなくとも、一時でも幸せであったのであれば満足、という考え方が桐野にできるのであれば、それでいいのかもしれない。
気になるのは、京介。
桐野が京介一筋なのに対し、京介は桐野が好きだと言いながら、黒猫への想いを断ち切れていない。
《最終巻(12巻)の136ページより引用》
俺はいまも、黒猫のことが好きだった。
恋愛的な意味で、彼女のことが好きだ。
京介がこのように語っている以上、京介は、桐野と黒猫の二人どちらもが「恋愛的な意味で」好きであることは明らかだ。
常識的に考えると、妹である桐野を諦めて、黒猫と付き合った方が良かったのだろうけれど、京介は桐野を選んでしまった。
二股をかけるなんてことは、性格上、京介にはできそうにないから、黒猫を諦め、桐野を選んでしまった。
京介が桐野を選んだのは、8巻の話が強い影響を与えているからだと思う。
私は途中までは桐野よりも黒猫好き(いわゆる黒猫派)ではあったのだが、第8巻で、黒猫が京介に、「運命の記述(デステイニー・レコード)」(黒猫がノートに書いた予言書)の「先輩と、別れる」という記述を見せて京介に理由も告げず一方的に熱々だった恋人関係を解消し、その直後、転校のこと・引っ越しのことを全く告げずに忽然と姿を消してしまった時から、以前ほどは黒猫好きではなくなってしまった。
この時から、私は、黒猫派から桐野派に変わってしまった。
黒猫が友人としての桐野のことを大切に想う余りに取ってしまった可哀そうな行動で、そのおかげで桐野の京介への想いを京介が知ることができたので、結果的には、桐野の立場で考えるとよかったのだろうけれど、京介の立場で考えるとあまりにも京介が可哀そうだった。
この8巻が衝撃的でつらすぎる内容であったため、最終巻(12巻)の内容は、ほのぼのとした印象を受けた。
京介が、新垣あやせ、来栖加奈子、田村麻奈実、櫻井秋美という4人の女の子からの求愛を断り、黒猫(五更瑠璃)には恋愛的に好きだという気持ちが残っているにもかかわらず、妹である桐野が好きだから付き合えない、と正直に断り、桐野一本に絞ってから桐野に想いを告げるのは、京介らしい、と思った。
加奈子からの求愛は一番恰好良かった。
これからの夢(芸能生活)を捨てることになるかもしれない思い切った行動と、京介からフラれた時の受け答えも、どちらも恰好良かった。
黒猫の「生涯最大の呪い」のオチも面白かった。
京介が桐野に告白する重大なシーンであるにもかかわらず、笑わせてもらった。
そんな黒猫は好きだ。
退路を断ってくれた黒猫に心の中で感謝する京介、フラれたにもかかわらず「生涯最大の呪い」で京介を応援する黒猫。
そんな京介と黒猫は好きだ。
京介は、桐野に想いを告げて駄目だったら、黒猫に戻ることができるような保険もかけなかった。
彼はずる賢くない、卑怯ではない、馬鹿なのかもしれないが、純粋で恰好いいなぁ、と思った。
桐野と京介が恋人同士になった後も、桐野はいつもの桐野で、京介や黒猫と面白い口論をしてくれていて良かった。
最後まで読んでみての感想だけれど、桐野、黒猫、京介の面白い口論、行動が相変わらず面白くて良かった。
シリアス・殺伐としたシーンが多くても、この3人の掛け合いが面白かったので、最後まで楽しめた。
小説としては完結してしまったようなので、今後の「俺妹」の世界での桐野、黒猫、京介達の行動は分からないが、今後も京介は、桐野と一緒に黒猫に会うことになるようなので、黒猫と復縁することがあるのかもしれない。
黒猫派の人にとっての救い(?)が残されているのは、色々と想像ができてよいと思う。
個人的には、この結末で良かったと思う。
小説が完結してしまったことだけが残念だ。