眉村卓 『傾いた地平線』

元の自分がいた世界とは別の世界で1981年10月20日〜12月20日までの時を何度も繰り返して体験するお話。別世界の自分と自分以外の周りの世界は、少しずつ本来の自分・世界とは状況が異なっており、別の世界に移る度に本来の姿とはかけ離れていく。SF作家である主人公は、多元宇宙という考えを用いれば、分岐した様々な世界があることには納得できるものの、別世界の「自分」に乗り移る度に「自分」とは何だろうか・・・と悩むことになる。自分とは何だろうと葛藤したり、別世界の「自分」に迷惑をかけないように気をつけたり、反省したりする様が面白かった。また、本作の主人公が大学で柔道をやっていたこと、サラリーマンとして働いていたこと、コピーライターの仕事をしていたこと、SF作家として本を書いていたことについては、作者(眉村卓)の経歴と重なっているので、作者の実体験がある程度元になっているのかもしれない。また、ひょっとしたら、作者自身を主人公にしたのかもしれない。・・・ということを思うと、本作のように眉村卓が別世界を漂流したことがあるかどうかが気になるところだ・・・。
  
 

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