筒井康隆 『エンガッツィオ司令塔』
表題作を含め、10の短編が収録されている。また、附録として、「断筆解禁宣言」があり、筒井康隆が断筆を開始してから解除するまでの経緯が書かれている。表題作の「エンガッツィオ司令塔」は、貧乏な学生が恋人に100万円を超える高価な指輪をプレゼントするために、製薬会社の薬の実験台のアルバイトをするお話。この主人公のすごいところは、製薬会社のかけもちをして、同時期に色々な薬の被験者になるところ。薬の作用の前に、この時点で、もう精神が破綻している…。「猫が来るものか」では、日本に限らず、世界中の作家の薬物使用についての話が出てきて面白かった。「首長ティンブクの尊厳」では、アイザック・アシモフのロボット三原則をギャグとして使っており、アシモフ好きの私としてはかなり笑ってしまった。 |