映画『メッセージ』を観た感想
昨夜、妻と一緒に、映画館でSF映画『メッセージ』を観てきた。
突然地球にやってきた謎の巨大な12隻の宇宙船。
宇宙船が地球にやって来る映画でよくあるパターンは、宇宙人が人間に攻撃を加えるために、宇宙船からは戦闘機が次々と飛び出てきて地球の都市は壊滅的な被害を受ける、といったようなもの。
このパターンに当てはまるのは、インディペンデンスデイや宇宙戦争。
この映画は、そういったよくあるパターンとは全く違って、宇宙人が攻撃を加えて来ることはない。
宇宙人は、宇宙船から降りて来ず、じっとしている。
地球人としては宇宙人が何を考えているかが分からず不安になるので、宇宙人との意思疎通を図るため、言語学者が宇宙人に会いに行き、宇宙人が地球に来た目的を解き明かすことに重きを置く映画となっている。
言語学者の調査により、宇宙人が喋る音声は理解ができないことが分かったが、宇宙人も文字を持つことが分かる。
一単語ずつ、地球人の文字で表される言葉と宇宙人の文字で表される言葉との対応関係を記録していき、最終的には、文字で簡単な意思疎通が行えるまでに至る。
人間とは文化的背景が全く異なる未知の言語を使用する宇宙人との意思疎通を言語で行う方法・過程が分かりやすく描かれているのが大変面白かった。
言語学に興味がある人や詳しい人であれば、この映画はとても面白いと思えるのではないだろうか。
宇宙人の使用する文字が、私にはどれもほぼ同じ記号に見えた。
視力検査の時に使われる円形の記号にも見えた。
円形の縁に付くギザギザの突起の形状で文字の違いを表しているのかもしれないけれど、難解すぎる。
漢字を使用しない外国の人が漢字を見た時には、同じような感覚になっているかもしれない。
といったように、この映画は、自国語について考える良い機会にもなった。
言語学者の娘のことを考えると、複雑な気持ちになった。
映画の冒頭で、生まれたばかりの娘・ハンナに対する表情に悲しみが含まれていた理由が、映画の終盤でやっと分かった。
私だったら、娘にどう接したらいいのか思い悩むだろうし、娘を産むという決断をできなかったかもしれない。
この映画に疑問を感じるとしたら、タイムパラドックスについての説明がないこと。
宇宙人の言語について説明した本を手掛かりにして、宇宙人の最後のメッセージを解読したことと、電話番号を知らないはずの中国の将軍に電話をかけることができたこと。
並行宇宙が複数あって、別の宇宙の未来から情報を得ているのだとしたら、タイムパラドックスの問題は回避できるのかもしれない。
SF的に色々と考えさせられる面白い映画であった。