妻に電話すると「もうすぐバルスよ」と言われ、電話越しに「バルス」を聞くことに...
iPhoneの発信履歴を見直すと、今日の23時21分頃、妻に電話をかけたようだった。
その時のことを思い出すたびに、面白い。
電話に出た妻は、かなりのハイテンション。
「ちょっと、おとうちゃん、もうすぐ......あと2分ぐらいで......」
妻のいつもと違う様子にやや圧倒されて、どうしたんだろう、と混乱する私に妻は言った。
「もうすぐバルスよ!」
その妻の一言に、私は、一瞬思考が停止するほど驚き、やがて大笑いした。
そういえば、会社でも、やたらとバルスバルスと騒いでいる人達がいた。
(私も少しその話題に参加したが。)
今日はアニメ映画「天空の城ラピュタ」がテレビ放映されるお祭りのような日だったことを思い出した。
「家に着いた?」
「いや、まだマクドナルドの前で、寒い外なんだけど......」
「もうすぐ、バルスよ」
「う、うん」
「聞こえる?」
ご満悦なご様子のムスカ大佐の声が聞こえた。
iPhoneの電話越しに。
私が小学生の頃(約30年前)から、何度も「天空の城のラピュタ」をテレビ放送で見てきたが、このように電話越しにムスカ大佐の声を聞いたことなど一度もなかった。
どうやら、今、私はとても貴重な体験をしているらしい。
電話越しに妻が娘の名前を呼びながら何か言っているが、何を言っているかは聞き取れない。
何故か、ムスカ大佐の声ははっきりと聞き取れた。
「さあ答えを聞こう」
ああ、もうすぐ来るなぁ......。
「バルス」
パズーとシータがバルスの呪文を暗く思いつめた声で唱え終わると、妻もバルスの呪文を唱えた。
妻の場合は、追いつめられたパズーとシータと違って、とても嬉しそうに、明るい声で、唱えたというより叫んだ。
私は、マクドナルドの店舗前の歩道で、iPhoneに向かって小さな声で「バルス」とつぶやいた。
念のため、周りの人達を見てみたが、誰も「バルス」とは口に出してはいないようだった。
まあ、普通、自宅のテレビの前で、「バルス」と言っているよね?
路上で電話越しに、アニメ映像を見てもいないのに、電話から聞こえてくるパズーとシータと妻の「バルス」を聞いた後で、「バルス」と言った人は、少数派だろうなぁ。
今日は、間違いなく、私のこれまでの人生において、もっとも印象深い「バルス」を唱えた日となった。
なお、このハイテンションの妻と一緒にテレビを観ていたであろう小学4年生の娘の声は、ほとんど聞こえてこなかった。
アニメ好きの娘のことであるから、アニメに集中し、おしゃべりなどしなかったのであろう。
母親や父親が何を騒いでいるのかがさっぱり分からなくて、「うるさいなぁ」と、思っていたかもしれない。
そのうち、娘も、アニメの内容そっちのけで、「バルス」イベントが楽しみになる日が来るかもしれないなぁ。
追記。
このブログを見た妻から連絡があり、娘が静かだったのは、眠くてウトウトしてたから、とのこと。
何回も観てるから、飽きてたのかなあ。