写真集『鳥居のある風景』(著者:ジョニー・ハイマス)を読んだ感想

写真集のあとがきによると、著者の外国人のジョニー・ハイマス(Johnny Hymas)氏は、日本の古くからの美に見せられ、日本各地を巡って12万点もの写真を撮影したとのこと。

その膨大な数の写真の中から、鳥居をピックアップしたものを写真集として出版したのが本書・写真集『鳥居のある風景』(Ancient Grace)のようだ。

その他に、あとがきには、著者の鳥居への並々ならぬ思いが分かる興味深いエピソードが書かれていた。

著者が友人と撮影旅行に出かけた際に、鳥居の下(?)にテントを張ってそこで、台風という天候の中で夜を明かすと、倒木が鳥居の上にあり、テントへの直撃を鳥居が防いでくれたとのこと。

神社に参拝して神にお礼を言おうと社をさがしたけれど見つからず、地図で探しても見つからず、名前も分からない鳥居だけがそこにあった、ということが分かり、神に感謝した、というようなことが書かれていたのを見て、外国人であるはずの著者は、今の日本人以上に昔の日本人のような感覚を持たれていることを知って驚いた。

また、写真集の冒頭数ページでは、二人の人が鳥居について熱く語っており、一人目の人(森本哲郎氏)は天照大御神の気を引くための説を出されていて、一般的な説ではあるが、改めて聞いても納得感があるものだった。

二人目の人(宗教学者・文学博士・京都造形芸術大学教授 鎌田東二氏)は、持論を展開されていて興味深い。

鎌田氏としては、以下のことを述べられていた。
「天然への門としての鳥居」
「1、鳥居は異界への回路であり、天然への門である。」
「2、常世への入り口としての天然の鳥居としての洞門」
「3、海は生命と情報の森であり故郷である。」
「4、鳥居とは多世界が境を接する渦巻く磁場である。」

結びとして
「鳥居は一つのエネルギーの場である。次元変換点であり、多世界が境を接する渦巻く磁場である」
と述べられていた。

鳥居についてのあまり聞いたことがない表現であるため、ページ内のこのような見出しだけを見ても意味が分からないと思うが、鎌田氏の数ページに渡る文章を読むと分かると思う。
特に、鳥居のことをドラえもんのどこでもドアを例にして説明しているところは、面白いと思う。

著者のあとがきと冒頭の二人の解説者による鳥居への熱い思いが込められた文章も、この写真集を面白いものにしている。
一読の価値あり。

写真集に収められた鳥居の写真はどれも素晴らしいが、私にとって一番印象的だったのは、岩手県遠野市の山林の中にある朽ちかけたように見える複数の木造の鳥居。

その他、愛媛県長浜町の海辺の崖の上に立つ鳥居も幻想的でよかった。
(地元の愛媛に戻って機会があれば行ってみたい。)

この写真集を見終わった後、鳥居を色々と見てみたいと思い始めた。

偶然だけれど、今日は、明治神宮に行ってきたことを思い出した。
神社巡り、いいかもしれない!

前へ

東京メトロ千代田線の国会議事堂前駅の運賃表、路線図、時刻表、大晦日終夜運転時刻表など

次へ

Windows OSの予期せぬ強制再起動で壊れたテキストファイルを復旧できるかもしれない方法