写真集『炭鉱(ヤマ) 写真・文章・本橋成一 (第2版)』を見た感想
表題の通り、この本は、炭鉱をテーマとした写真集だ。
炭鉱という場所そのものというよりは、炭鉱に関わる人々に焦点をあてている。
写真集の目次は
- 死への労働
- 保護地獄
- 爪痕
- 廃坑の日々
- タヌキ掘り
- 若者たち
- 悟平さん一家
となっており、炭鉱により命を失う人々、命は失わなかったが生活保護を受ける人々など大変重いテーマを扱っている。
特に、最近は、生活保護を不正受給するようなニュースが世間によく流れているため、生活保護についての関心が高まっているが、現代の生活保護不正受給者と、この炭鉱の写真集に登場する1960年代の生活保護を受ける極貧の炭鉱離職者とでは、生活の苦しさのレベルというものがまったく違うようだ。炭鉱離職者は、月1回、役場で生活保護の支給を受ける際に、役場の外に待ち構えている高利貸しからお金を搾れるだけ搾り取られるため、生活保護を受けているといっても、生活は大変苦しかったようだ。
私が今回読んだ写真集『炭鉱(ヤマ)』は、1968年11月15日第1版発行のものを24年後の1992年11月15日に第2版発行として出版されたものだ。
「あとがき」のところでは、第1版の写真集の最後の見開きページに写っている子供が成長し、その後、自殺してしまう、といった悲しい話が書かれていた。
第1版の発行の時には、子供の笑顔の写真を見て、「この子たちの世代に期待しましょう」という思いがあったようだが、第2版の発行時には、その子供が自殺してしまったことが分かっていたので、筆者は大変複雑な気持ちになったのだろう、と思う。
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