写真集『日本の灯台―流氷の海から珊瑚礁の海へ 山崎猛 写真集』を見た感想
日本全国の灯台を対象とした写真集。
船乗りではないので、灯台については、深く考えたことはなかったが、この写真集を見ることで、灯台の歴史、役割などを学ぶことができた。
写真集には、何人かの著名人が執筆したそれぞれ2ページ程度の文章が掲載されているのだが、中でも石原慎太郎氏(元東京都知事)の文章が興味深かった。
石原慎太郎氏は、毎年、灯台のカレンダーを購入していたり、過去に私費や公費で灯台を建設しているほど、灯台については並々ならぬ思いがあるようだった。
作った灯台それぞれの目的が、1.石原裕次郎のために、2.領土問題のために、3.ヨットレースのために、と様々であり、灯台のことを船乗りを陸に導くための燈火ぐらいにしか考えていなかった私にとっては、灯台についてこのような考えや意味があると知って驚きだった。
昔は、灯台守という人がいて、各灯台には家族と一緒に灯台の番をする人が住んでいたというのも驚きだった。
現在は、気象観測的な目的を除き、すべての灯台が無人になっているようだが、昭和の終わりまでは、灯台には人が住んでいたとのこと。昭和の終わり頃というのは、私にとってはつい最近のことだ。
この写真集に含まれる灯台にまつわるエピソードを読むだけでも楽しいが、もちろん、写真も素晴らしい。
日本全国の灯台。どれも同じようでいて、同じではない姿。
寒さ、暑さ、荒波、強風に負けずに、力強く屹立する姿。
フレネルレンズと呼ばれる灯台の美しいレンズ。
険しい場所に立地する灯台を定期点検する人々。
これらの写真を見ると、雄大さ・力強さに圧倒されるし、美しさに魅了され、それが心地よい。
今後は、灯台を見かける度に、この写真集で学んだことを思い出して色々と考えることになるだろうと思った。
灯台を観に行く観光をしてもいいかもしれない。