藤子・F・不二雄大全集『パーマン』第1巻|収録話一覧と読んだ感想まとめ
藤子・F・不二雄大全集『パーマン』第1巻を読んだので、収録されている全24話のタイトルと収録話ごとの感想をまとめてみた。各収録話の初出掲載雑誌や当時の時代背景も合わせてご紹介。
パーマン第1巻の収録話が掲載されていた雑誌と掲載年
この大全集には、週刊少年サンデー1967年2号から24号まで、および、1967年増刊少年サンデー春号に掲載された話が収録されている。
この第1巻で24話分も読むことができる。(なお、私が読んだ大全集第1巻は2009年7月29日 初版第1刷発行のもの。)
パーマン第1巻の収録話一覧
- パーマン誕生
- パーマンに水難の相
- 野球は二人で
- コピーロボットの逆襲
- はじめましてパー子です
- 砂漠のジン魔神
- にせ者パーマン
- パーやんですねん
- ニセ札犯人を追え
- パー子の正体は?
- わたしの命はねらわれている?
- 先生がくる!!
- 怪獣さがし
- 生きうめパーマン
- 世の中うそだらけ
- パーマン全員集合!!
- 故障したコピーロボット
- ゆうれい船
- 牧場をとりもどせ
- やさしいやさしい女の子
- 怪人千面相
- 死の船
- 毒ガス密造団
- コピーロボットの反乱
収録話ごとの感想
パーマン誕生
第1話を読むと、主人公のみつ夫がパーマンになった経緯が分かる。
「ほんもののスーパーマンにはおよばないので、これをパーマンとよぶ」
みつ夫が空を初めて飛んだ際にスーパーマンが「それでなれれば時速九十一キロでるよ」と説明してくれたり、力については「ふだんの六六〇〇倍の力がでるんだ」という説明があったりと、第1話でパーマンの基本能力が判明するのがよい。
バードマンという名前は出てこない。みつ夫をパーマンにしてくれたUFOに乗る人物はバードマンではなく、スーパーマンと名乗っている。
パーマンに水難の相
みつ夫(みつお)の名字は須羽(すわ)ということが分かる。
笹ヤブ一家(笹ヤブ組という暴力団)が雇う用心棒の名前は平手先生。
(平手の読み方は「ひらて」)
平手先生は一刀流免許皆伝の腕前とのこと。
暴力団事務所をみつ夫が訪れた際に言われた「おぬし剣難の相がある」というセリフが面白い。
「剣難の相」の読み方は「けんなんのそう」で、話の流れから考えると平手先生の剣で切りつけられるようなことを占っているのであろうということが分かるけれど、聞き慣れない言葉であったのでAIで調べてみると、「人相見(手相や顔占い)において、刀剣などで傷つけられる災難や、非業の死を遂げる凶相」という意味のようであった。勉強になるなぁ。
野球は二人で
みつ夫(コピーロボット)が急な腹痛をママに伝えるとママがすぐに家に医者を連れてきてみつ夫を診てもらうシーンがあるのだけれど、昔は病院の先生が自宅まですっ飛んできてくれる、ということは普通の光景だったのだろうか。
先生が「どうもわからん。ありあわせの注射をうっとこう」と言って、そんないい加減な注射を打とうとする医者が本当にいたとしたら怖い。
コピーロボットの逆襲
みつ夫の担任の先生の名字の漢字は「日下野」で読み方は「ひげの」だ。
カバ夫に「ヒゲダルマだ」と言われていた。
はじめましてパー子です
「パーマン」の呼び方が女の子向けではないということで、いくつかの呼び方が考案されていた。
「パーガール」「パー子」「パーレディ」というように、冒頭に全部「パー」が付く。
こう聞くとパー子が一番しっくりくる、いいネーミングセンスだと思う。
「強力な反重力場ができている」とのことで「マントのまわり直径二メートルくらいはカバーしている」ことや「地球の引力の向きを、脳波の指令で自由にねじまげられる」ことや、マスクをかぶると「パーマロゲン」という新物質ができ、「筋肉の収縮力は六六〇〇倍になり、骨のかたさはダイヤモンド以上になる」といったパーマンの秘密を科学で解明しようとする科学者が出てくる。この考察力が本当に正しそうに聞こえてくるから、悪人とは言え、頭が良い科学者なのであろうと思う。
この話で、初めてバッジの使い道が分かる。
・トランシーバーになる
・バッジをくわえることで酸素ボンベにもなる。
私が子供の頃に、パーマンのバッジのトランシーバーのおもちゃが流行ったなあ。懐かしい。
砂漠のジン魔神
「魔神」の読み方は、漢字の下に付けられているフリガナによると「ましん」とのこと。「まじん」という読み方ではなかった。
ドンガラガッチャ共和国のドンガラガッチャ語で「アチャパギョーチャ」は「なんにもしらない」という意味のようだ。
パー子によると、パーマンのマスクの耳のところを回すと「万能ほんやく機」になるとのこと。
にせ者パーマン
三重晴三(みえはるぞう)くんが登場。
日本円で買うと二万円もする万年筆をパパが外国で買ってきたとのことで皆に自慢する。当時の二万円だとかなり高そう。
パーマンの実績について語られている。
・暴力団の笹ヤブ一家をやっつけた
・吹雪岳でそうなん者を救った
・ピストル密輸団をとらえた
笹ヤブ一家以外の話は出てきていないので、話を読んでみたいなあ、と思った。
パーやんですねん
パーやんが初登場。
パーやん運送株式会社は、スピードとサービスをモットーにしているとのこと。
配送料は大きさや距離で変わるのかもしれないけれど、大阪エリアで車半分ぐらいのサイズの荷物を運んだ例では300円かかるようだった。
パーやんは大人になったらパーやん貿易という会社を作りたいとのことで、この話を読むまで知らなかった、あるいは忘れていたのだけれど、パーやんは大人じゃなくて子供だったのか。
「けいやく書をよく読まなんだきみがわるいわ」というパーやんの言葉はためになるなあと思う。漫画を読むことで契約書の大切さ、怖さを学ぶことができる。勉強になるなぁ。
ニセ札犯人を追え
ニセ札犯が次に現れる場所が中部線の南のほうにある代々本駅ということを予測する交番のお巡りさん、優秀すぎる。
中部線の読み方は「ちゅうぶせん」で、代々本駅の読み方は「よよもとえき」となっている。
パー子の正体は?
レントゲンレンズという秘密アイテムが本当にあるのかと思った。
本屋で立ち読みしているシーンでパー子が読んでいる本は「週刊ガール」という雑誌。
小池さんの表札がある家に入っていくと、小池さんがラーメンを食べている。小池さんが登場するのは嬉しい。相変わらずおいしそうにラーメンを食べるなあ。小池さんが登場するとラーメンを食べたい気持ちになってくる。
わたしの命はねらわれている?
パーやんの「人間は働かんとあきまへん。ブラブラしとると体も具合悪くなるしろくなことを考えんようになるもんや」というセリフは名言だと思う。
特に私が共感するのは「ろくなことを考えんようになる」というところ。
登山や旅行に行くなどして、とにかく体を動かしていると、ろくなことを考えなくて済む。
「ろくなことを考えんようになる」とは、私の考えでは、気が滅入るようなこと、悲観的なことを考えすぎて、自滅的なよくないことを考えてしまい、心身が消耗していた場合はさらに消耗・疲弊するという悪循環に陥る結果に至るような思考に陥ってしまうことだと思う。
だから、私は気が滅入っているときは家からは出て、とにかく体を動かすようにしている。
パーやんの言葉は本当に名言だと思う。子供とは思えない達観した大人の言葉だ。49歳にもなる私だけれど、まだパーやんのような達観した心は持てていない。まだまだ鬱々とマイナス思考で悩んでいる。パーやんのようになりたい。
先生がくる!!
「パパはあす、会社でしょう?」というみつ夫の問いかけに「いかないよ。日曜だもの」というパパが返してくるセリフを聞いて、この時代は週休2日制は当たり前の時代ではなく、月曜日から土曜日まで働くのが普通の時代だったことを思い出した。
みつ夫が土曜日に学校に行っていることや、学校の時計が12時5分頃を指している絵を見て、昔...私が小学校に通っていた昭和の時代は土曜日でも学校は休みではなく、土曜日の昼まで学校があったことを思い出した。今は会社も学校も週休2日制が当たり前の時代になっているので時代が変わったなぁ、と思う。怪獣さがし
小学生の友達みんなで集まって怪獣映画を友達の家のテレビで一緒に観るのは楽しそうだ。この時代はまだテレビゲームも、当然、携帯・スマートフォンもない時代なので友達の家でテレビを一緒に観ることは楽しい時間の過ごし方の1つであったのだろうと想像する。今もよい時代だとは思うけれど、昔もいい時代だなぁ、と思う。
生き埋めパーマン
「こんなにかぎざきだらけにしてどうしたの?」と傷だらけになった服を手に取ってママがみつ夫に問い詰めているセリフの中にある「かぎざき」という言葉の意味が分からなかったので生成AIに聞いてみると、「鉤裂き(かぎざき)とは、衣服や布地が釘などに引っかかり、カギ(鉤)の形に裂けてしまうこと、またはその裂け目のこと」とのこと。恥ずかしながらまだまだ知らない言葉がいっぱいある。子供向けの漫画「パーマン」でも学べることは色々とありそうだ。
世の中うそだらけ
4月1日のエイプリルフールで嘘をつくという遊びはこの時代でもあったようだけれど、エイプリルフールという呼び方は「四月バカ」という呼び方になっているのが、昭和の時代っぽい。私が小学生の頃は「四月バカ」という呼び方ではなく、エイプリルフールと呼んでいたような気がするなあ。
パーマン全員集合!!
パーマンになるための資格が二つあることが分かった。
一、その力を悪いことに使わないような人間。
二、その秘密をぜったい他人にもらさないこと。
パーマンたちの友情が熱い。みつ夫のために、他のみんなが必死になる様子に心を打たれる。
故障したコピーロボット
もしかしたらこの話で初めてパーマン2号の名前がブービーだと分かったのかな。
「立川」行の電車が登場する。
立川駅が東京都立川市の実在する駅だと考えると、立川駅を通る路線は、南武線・青梅線・中央本線の3つのようなので、いずれかの路線の電車ということになる。
生成AIに聞いてみたところ、終着駅が立川駅となるのは南武線のみのようだったので、これが正しいのだとしたら、この話に登場する立川行の電車は南武線の電車だということになる。このような考察をするのも楽しいなぁ。
ゆうれい船
「二七五〇億ドル!!日本のお金にして九十九兆円だぜ」というみつ夫のセリフから、1ドル=360円の時代だったということが分かる。
1949年から1971年までは、固定為替レートであったため、1ドル=360円だった。
2026年9月12日現在は、1ドル=153円なので、ずいぶん円安になったものだ...。
牧場をとりもどせ
みつ夫が東京から北海道の月の輪牧場というところまで飛んでいった話を見て、パーマンのマントを使って東京から北海道まで飛行した場合、どれぐらいの時間がかかるのかを計算してみた。
東京も北海道も場所が広いから、出発地と目的地の正確な住所があった方がいいのだろうけれど正確な住所は分からないため、東京駅から札幌駅までの直線距離が約830キロらしいので、この距離で計算してみた。
パーマンの飛行速度の上限が91キロであることを考えると、最高速度で飛んで行ったとしても、9時間ぐらいかかる計算になる。
いくら小学生で若いからと言って、9時間の飛行は大変そうだ。
やさしいやさしい女の子
パー子は怒りっぽいけれど優しいなあ。
あだ名で呼ばれているみっちゃんの名前が「みち子」だということが分かった。
怪人千面相
話のタイトルは「怪人千面相」となっているけれど、話の中では「怪盗千面相」となっている。
怪人と怪盗の違いは明らかなので、本当は怪盗と呼ぶ方が正しいのではないかと思う。
死の船
日本から450キロも離れた海上で立ち往生している阿部川丸という貨物船を助けにいく話。
パーマンたちが日本に向かう際、沈みつつある太陽を左手に見ながら飛んでいるので、船が立ち往生しているのは日本から南にあるということが分かる。
話の途中で出てきた犬島が瀬戸内海にある岡山県岡山市の犬島だとすると、いくら嵐でコースがそれたとはいえ、まったく方向が違うように思うので、瀬戸内海ではないところにある別の犬島かな(架空の島かも)。
毒ガス密造団
扉絵に、ブービーのしゃべる言葉の翻訳があって面白い。
ブービーの「イーイー。」は「OK!!さんせい」という意味のようだ。
コピーロボットの反乱
びょーんと飛び出すびっくり箱って懐かしい。今も似たようなおもちゃは販売されているのかな。
藤子・F・不二雄 大全集 パーマン第1巻の巻末の内容
この本の巻末には、初出掲載リスト、特別資料室、別バージョンの第1話冒頭部分の漫画、作者の藤子・F・不二雄先生のコメント、みつ夫・パーマン・コピーロボットの声を担当した声優・三輪勝恵さんのコメントなどが掲載されている。
特にコメントは読みごたえがあり、パーマン誕生の経緯やなぜパーマンの飛行速度が時速91キロから119キロに速度アップしたのか、ということなど興味深い話が掲載されていた。
藤子・F・不二雄 大全集 パーマン第1巻をお勧めしたい人
漫画やアニメでしかパーマンを見たことがない人で、パーマンが好きな方には、是非、藤子・F・不二雄大全集のパーマン1巻を読んでほしい。
子供向けの本であるにもかかわらず、49歳にもなる私が最初から最後まで楽しく読むことができた。
子供にも大人にもお勧めできる本だと思う。