萩尾望都 『恐るべき子どもたち』


お互いに嫉妬に狂った姉と弟のお話。・・・弟のポールに嫉妬する姉のエリザベートが取る行動はとても怖いけれど、私がポールだったら非難できないかもしれない。私には姉がいないから、弟のポールの気持ちは理解できないのかもしれないけれど、私だったら、エリザベートを「悪魔」などと罵ったりできないなあ。むしろ、姉をこんなに精神的に追い詰めてしまったのは自分だという自責の念で「ごめんなさい」と謝ると思う。ポールは姉に頼りっきりで後は何も考えなくていいのかもしれないけれど、姉のエリザベートは、金銭的な問題を除いては、つまり、精神的には誰にも頼ることができず、たった1人で思いつめていって、このような結果になってしまったのだと思う。この漫画は、ジャン・コクトーの小説詩をもとに描かれているということ。原作も読んでみたいなあ。

前へ

村上春樹 『TVピープル』

次へ

秋本治 『こちら葛飾区亀有公園前派出所 第130巻』